「苦労は買ってでもしろ」
と、年長者によく言われることばです。
私が自分を取り戻し始めた時に、なんとなくそのことを実感する
切っ掛けを得た、と思っています。
ユビキタス社会、いつでもどこでも!といった便利な世の中ですが、便利なものや事が生まれる切っ掛けは、それまで手間がかかり苦労していた事実があってこそだと思います。
私が休養に追い込まれた時、人間が生きる上で最低限必要な項目、つまり、「衣食住」において、いろいろ苦労させられました。 特に一番億劫に感じたのが、「食」の部分です。
仕事から離れるわけですから、当然給料など収入は、激減です。
もちろん、会社からは手当をいただいておりますので、収入ゼロではないですので、贅沢はいえませんが、今までとは勝手が違います。
住宅の返済費用や管理費、光熱費、自家用車ローン返済等を差し引いた中で、「食」と「衣」を賄わなければなりません。その他、通院が必要ですので医療費もかかります。
うつの症状では、食欲も低下しますし、食べるのも面倒に感じてしまうこともあります。
そんな時は、外食やコンビニの食品は便利ですが、きちんと栄養バランスを考えると、どうしても割高になり、月末に赤字になるケースも目立ちました。
最初は、以前からの貯金を崩してなんとかしておりました。
このときは貯金の備えをしていて助かったのですが、ずっとこのまま続ける訳にはいけません。
お陰で、外食のランチはどこがコストパフォーマンスがよいか、よく知るようになりました。
3ヶ月ほどして、気持ちが上向きになったころ、ちょっとでもいいから自炊に挑戦してみようという気持ちになりました。
料理番組でのちょっとした様子が切っ掛けでした。
まずはご飯だけでも炊いて見ることにしました。炊飯器でもいいですが、必要な量だけと考えたところ、陶器の鍋釜で作ってみることにしました。
米を研ぐ、水を吸わせる、吹き零れがないように、火加減の調整など、時間がかかり、面倒なところはありますが、完璧でなくてもいいと思いつつ、やってみると実に奥が深い。
だから、おいしくふっくらと、かつ底面におこげができるようにうまくできた時は、なんとも言えぬ感動がありました。
水加減を間違えてしまっても、柔らかければお茶漬けか、梅ぼしや海苔を入れておかゆ、固かったら炒めご飯で何とか対応できるのです。
おかずは最初は、スーパーの惣菜そのままでしたが、お酒のおつまみのつもりで、野菜や豆腐などと組み合わせて、ちょっと手を入れてみるようになりました。
主婦の知恵とか、料理人のまかない料理などは、興味深く参考にしていました。
余った分は、冷凍などで日持ちできますので、結果的に以前に比べて食費は半分程度に節約でき、かつ、不燃ごみの量を減らすことにもつながりました。
それ以上に、お金に現われない、食のありがたみという価値観の再認識を得ましたよ。
日本の食糧自給率が低いことに、世間が危機感を持っておりますが、
改めて 「食べ物を粗末に扱っては罰があたる。 」
「明日の自分があるのは、いろんな人々の苦労の積み重ねがあってこそ。」
と感じるようになりました。
最近は、独身男性でも自分でお弁当を作る人も、多いようですが、決して悪いことではありません。
今もその心得は、忘れないように心がけします。
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