2009年4月22日水曜日

ああ 野村監督裏話(その2)

 野村監督が現役選手時代に、最も苦手とした投手、
それは、当時西鉄ライオンズ、故稲尾和久投手でした。

 野村さんは、投手の癖を見て、投げる球種やコースを読んで、打つ球にヤマを張る秘策を
うまく活用されていたことは有名です。
 ただし、稲尾さんだけは、ストレートもシュートも同じフォームで投げるので、
球種を読むことが困難であったそうです。

 後に、野村さんが、稲尾さんの投球フォームを16ミリ映写機で、じっくり観察し
ストレートとシュートを投げるときの、わずかな投球フォームの違いを見つけ出し
一時期、稲尾さんのシュートにヤマを張ることができたと言う事は、よく知られています。

 実は、稲尾投手も、打者の見えない癖を見つけ出して、打者の狙い球に裏をかくように
投げる球種やコースを変えていたのです。

 ストレートもシュートも投げるフォームが変わらない所以は、
日本シリーズでの長嶋茂雄を攻略するために考えた、「ノーサイン投法」だったのです。

 長嶋茂雄が打席に立つ様子は、狙い球がどこか全く見当がつかない、自然体だったのです。
だから、何処に投げても、打ち返されてしまうような感じだったそうです。
 稲尾さんが長嶋対策を考えて観察した結果、投手が投げる瞬間に、唯一、
長嶋さんの肩の位置が、内角と外角狙いで変わる癖があったことがわかったのです。

 普通は、投手は投げる前に、捕手とどの球種を投げるか決めています。
だから、癖がわかっても手遅れと考えます。
 しかし、あえて、長嶋さんの時は、捕手とのサインはなしにして、
投球動作に入ったとき、長嶋さんのちょっとした癖にあわせて、ボールの握りを変える

(内角狙いならば、スライダーやカーブ、外角狙いならばシュート)
といった器用な方法で、攻略をされたのです。

 稲尾さんは、練習でつかんだ長所、それはコントロールが抜群によいことでしたので、
うまく特徴を生かせたのではないでしょうか。
 
 だけど、捕手は、ノーサインで次何処に投げるかわからないのだから、球を受けるのは大変だったのでは?
その年は、西鉄ライオンズは「神様、仏様、稲尾様」の有名なキーワードが生まれるように
日本一になったのです。

 ちなみに、折角稲尾さんの癖を見つけ攻略できた、野村さんですが、オールスター戦で
同僚の投手がうっかり、癖を見ていることを喋ってしまったことから、稲尾さんが癖を見られて
いることに気付き、見事に修正されてしまったそうです。

 その後、どのチームの選手も癖や傾向に対して、重要な意識を持つようになりました。
実は、当時のMLBの選手は、こういった相手の傾向を上手く見極めることは、良くやられて
いたそうです。
 まさに、狐と狸の化かしあいととも言えることですが、身体能力や精神力だけでは
カバーできない部分を、知恵を使って補う戦術の立役者だったのではないでしょうか?

 野村さん = データ野球 と思われるかもしれませんが、
言葉 ID:important data 野球にあるように、
 ただ漠然と相手の様子を見るのではなく、
自分のチームのタイプにあう適切かつ、重要な情報を、
うまく活用することで、攻撃や守備でものチームプレイを最大限に生かすことが、
本質的な考えなのかもしれません。

 野村さん曰く、もともとバッティングは器用ではなかった、だから逆転の発想で、
相手の球種を読んで、狙い球を決め撃ちすることを、考えるようになったといわれます。

 野村さんの本を読んで、野球を見ると、いろいろ違った奥の深さを感じ、駆け引きの面白さを感じます。
 テレビ中継も良いけど、選手の表情など、球場に良くとより、面白さがあるのではないでしょうか?
 私も休養中に、よく球場に行ってましたよ。

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